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2023.07.06

高級車にEV自動車…”憧れの車”に乗れるカーシェアサービス「エニカ」に注目!

「エニカ(Anyca)」は、輸入車・国産車の1,100車種以上が登録されているカーシェアサービスです。テスラ、ポルシェ、ボルボなどの高級車の登録も多く、車好きのユーザーから注目を集めています。

今回は、大注目のカーシェアサービス「エニカ」をMobilish編集部が利用して、その感想をレポートします。また、記事後半ではサービスを提供する株式会社DeNA SOMPO Mobilityの代表取締役社長・馬場様から伺った「エニカ」や「日本のMaaS」についてのお話を紹介しています。

カーシェアサービス「エニカ(Anyca)」

株式会社DeNA SOMPO Mobilityが提供するエニカは、クルマを所有するオーナーと、必要なときにクルマを使いたいドライバーをマッチングするプラットフォームサービスです。オーナー(個人/法人)が所有するクルマに対して共同使用契約を結ぶことでカーシェアを行う「共同使用」と、DeNA SOMPO Mobilityが所有する「わ」ナンバーのクルマをステーション型レンタカーとして利用する「有償貸渡」の2種類があります。

ドライバーは気分やシチュエーションに合わせてSUV、スポーツカー、EVなどを利用することができ、オーナーは使用料を得ることでクルマの維持費を軽減できることから、大変注目されています。

EV自動車を初運転!

Mobilish編集部が実際にエニカを利用した感想をレポートします。今回運転するのは、ディーラー店舗が貸し出しをするBYDのEV自動車です。今回はBYD AUTO 池袋で予約をしましたが、全国にあるBYDディーラーのエニカ導入店舗で予約ができます。

話題の車種がずらり

予約をする前に、まずはエニカのアプリで会員登録とドライバー登録を行います。登録が完了したところで、車の予約ができるようになります。

受け渡しの場所や日時などの条件を選択して検索してみると…検索結果にはポルシェ、テスラ、ベンツのような高級車や、EV自動車など、気になる車がずらっと表示されました。

今回は、その中から最近話題のBYDのEV自動車を予約してみました。

アプリで相互チェック

今回乗車するのは個人間シェアではなく、ディーラー店舗で貸し出される車ですが、シェアまでの一連の流れは同じです。

アプリの案内に沿って予約や免許証、車体の確認などを進めていきます。ドライバーとオーナーそれぞれでアプリを操作しながら相互で確認をしました。

車を知り尽くしたスタッフから受ける丁寧な説明

確認が完了したところで、BYD AUTO池袋の担当者から運転に関する説明を受けます。乗り慣れていない車だからということもありますが、最新機能をフル活用してドライブを楽しむために詳しく教えてもらいました。EV自動車についての豆知識なども教えていただき、さらに運転が楽しみになります。

静かで滑らかな走りに感動

説明を受け終わったところで、鍵を受け取り、車に乗り込みました。包み込まれるような感覚のシートの座り心地。すでに、快適なドライブが約束されたような気がしてワクワクします。走り出して気づいたのは、走行音の静かさです。さらに、路面の凹凸を感じない滑らかな走りに感動しました。

しばらく運転していると、「この車、欲しいかも」という気持ちがムクムクと湧いてきます。初めてEV自動車を運転して感じたのは、想像以上の快適さ。この感覚は乗ってみないと分からないかもしれません。

返却時もアプリを使って相互チェック

返却のために店舗に戻ってきました。返却時もアプリの案内に沿って相互で確認を行います。今回は問題ありませんでしたが、車体に傷やへこみを見つけたときは、その場で撮影してアプリに画像をアップロードできるようになっていました。

アプリの確認工程がすべて終わったら、これで返却完了です。アプリの案内通りに進めるだけでサクサク進むので、たとえオーナー、ドライバー共にサービスの利用が初めてであっても迷うことなく利用ができそうです。

今回の利用を通して、エニカの良さはもちろんですがEV自動車の良さも知ることができました。そんなわけで、心を動かされた私は、車のパンフレットと見積もりを請求して帰宅したのでした。

エニカについて担当者にお話を伺いました!

株式会社DeNA SOMPO Mobility
・代表取締役社長 馬場 光さん(右)
・PRディレクター 相澤 梓美さん(左)

これからのカーシェアは個人間が伸びると確信してスタート

――個人間カーシェアに焦点を当てて、サービス化した理由を教えてください。

馬場さん:エニカは、2015年9月にリリースしました。ちょうど、民泊やカーシェアといったシェアサービスが国内で広がってきた時期です。
これから人口が減りクルマも減るとなったときに、日本中のどのエリアにおいても自由な移動を可能にするためには、すでに所有されているクルマをシェアする個人間のカーシェアが有効だと考えました。 

――サービスを立ち上げるに当たって、どのようなハードルがありましたか。

馬場さん:初の個人対個人のカーシェアサービスですから、規制面をクリアすることと、安心安全をいかに担保するかという2つが大きなハードルでした。

――初めてのサービスであるが故に、オーナーにも、ドライバーにも不安を感じる部分はあるでしょうし、サービスを提供する中でトラブルが発生することもあると思います。

馬場さん:そうなのです。最初の頃、特に多かったトラブルは、「車体にキズが付いていた」というものです。キズは、もともとついていたのか、シェア中についたのか判別が難しいので、この解決策として、アプリ内でクルマのキズを写真撮影して保存できる機能をリリースしました。
その次に表れたのが、「シェア中についた傷をどこで直すか問題」です。オーナーはディーラーで直したい。しかし、ドライバーは少しでも安価なところで直したいわけです。これには、修理サポートセンターを作って対処しました。キズの写真をもとに提携修理工場で見積金額を算出し、判断基準となる修理代金を両者に提示し、エニカがコミュニケーションをサポートする仕組みを作りました。

――個人間カーシェア専用保険も作られたそうですね。

馬場さん:エニカをリリースしたときは、既存の保険を利用していました。ところが、既存の保険ではカバーできない案件も出てきたので、損保ジャパン様にご協力いただき、2021年に個人間カーシェア専用保険を開発しました。

――エニカならではの補償内容はありますか?

馬場さん:3つあります。
1つ目は、車種に応じて車両保険の補償額を選べるようにしました。エニカに登録されている車種は1,100種あり、価格もバラバラだからです。2つ目は、補償の対象の拡大です。運転中だけでなく、駐車中などの「シェア期間」を補償の対象としました。3つ目は、免責0円オプションです。
トラブルをすべて保険で回収しようとすると、保険の原価が高くなってしまいます。ドライバーだけにその負担をかけるのではなく、私たちは保険にもシェアという考え方を取り入れました。オーナー、ドライバー、エニカの3者で保険料を負担するのです。また、ドライバーの運転実績に応じて保険料を設定できるような設計にしており、今後投入する予定です。
また、ドライバーの半数は既にクルマを所有しており、その多くは「他車運転特約保険」に加入していることがわかったので、「他車運転特約」をエニカでも使えるようにしました。

エニカならではのコミュニティや文化が誕生

――どのような方がエニカを利用していますか?

相澤さん:これまでは、男性利用者が中心でしたが、ここ数年で女性利用者の割合が増えてきています。年齢層でみますと、ドライバーは20代から30代が半数以上、オーナーは30代から40代が全体の約6割を占めています。
ドライバーは、車好きで乗ってみたい車種のある方や、アウトドアや旅行が趣味で遠出をするために利用される方が多いようです。また、購入前にエニカでいろいろな車種を試すという方もいらっしゃいます。

――MaaS事業においては運営会社との連絡の取りやすさが求められます。御社ではこの点をどのように取り組まれていますか。

馬場さん:ドライバーやオーナーが我々と連絡を取るケースと、オーナーとドライバーが連絡を取るケースがあります。
前者の事故など即時性が求められる内容については、事故受付専用の24時間受付センターを用意して対応し、一般的な問い合わせについてはメールで対応しています。
後者については、アプリのチャット機能で事前にコミュニケーションをとり信頼関係を築いてからシェアすることができます。予約確定後は電話でも連絡できるようにしました。

――アプリやサービス設計でこだわったポイントはありますか。

馬場さん:アプリのナビゲーション通りに操作していけば、車体の確認などの必要な手続きが自然と完了するように作ったところはこだわりです。
アプリ以外では、エニカでしかできない乗車体験をどのように伝えるか、工夫しています。事業の構造上の強みは多々あるのですが、例えば、エニカを利用したからこそできる経験や、感じられることなどです。

相澤さん:実際には、オーナーとドライバーのつながりができて趣味のコミュニティができたり、エニカでの出会いがきっかけで転職したり、ドライバーからオーナーにお土産を贈る文化が生まれたりしています。こうしたコミュニティを広げることにこだわり、伝え方を考えているところです。

法人車両も活用し需要と供給のバランスを図る

――エニカは法人車両の共同利用も行っておられますよね。どのようなきっかけで法人車両に着目されたのですか?

馬場さん:エニカのサービス提供を続ける中で世の中を俯瞰してみると、こんなことが見えてきました。社用車や公用車は、土日は完全に眠っていますが、ドライバーの需要は土日に増えるのです。日本のクルマの稼働率は3~4%と低い中、このアンバランスな状態を組み合わせたらいろいろな問題が解決されるのではないかと考えました。これが法人所有車を活用しようという発想のはじまりです。
しかし、この仕組みを実現しようとすると、規制が関わってきます。法人所有のクルマが共同使用できるようになったらそのエリアがどう変わるか、エニカの実績を踏まえながら国土交通省に提案し、実証実験へと進めていきました。
はじめはエリアを絞って半年間の実証実験を行いました。そこで得たデータをもとにエリアを全国に広げて、さらに実証実験を繰り返し、法人所有車のシェアサービスをリリースしました。
国土交通省の方は日本の交通をよくすることを考えている方ですから、前向きに話を聞いてくださいました。我々としてもエニカのサービス提供の先に人々の幸せな姿が見えなければやりたくありません。うまくいっていることも、いっていないことも包み隠さずデータを提供し続けました。

――どのようなデータを提供していたのですか?

馬場さん:エニカは、共同使用という概念でサービスを構築しています。共同使用では、大勢の知らない人に車を貸して収益を得るのではなく、同じドライバーに繰り返し利用していただくことで自分の車を一緒に持ってもらう関係を築いていくことを目指しています。
ですから、オーナーには毎月乗ってくれるドライバーを3人探して、共同で所有する姿を。ドライバーには、さまざまな車種に乗れるというメリットとは別に、近所に3台はいつも乗れる車を見つけることで、仮想マイカーを所有することを推奨しています。なので、特定のドライバーや地域の方が継続的にシェアしていることがわかるデータなどをお渡ししていました。

販売の仕組みを作りクルマの継続所有と新車購入をサポート

――今後、挑戦してみたいことや、増やしたいサービスはありますか。

馬場さん:まず個人、次に法人へとシェアサービスを拡大してきましたが、需要と供給の合わない地域が出てきました。ドライバーに対してオーナーが少ないエリアに対しては、我々が所有する「わ」ナンバーのクルマをステーション型レンタカーとして利用する「有償貸渡」を始めました。
また、EVの波、オンラインでの自動車販売の波が来る中、実際に乗ってみたいというニーズが高まっています。しかし、EVのカーシェアは充電時間が長く効率良く貸し出せないという問題がありました。そこで、エニカがディーラーのような役割を果たし、EVに乗ったドライバーが後にその車種を購入したら、販売マージンをいただくことでサスティナブルなEVカーシェア普及の仕組みが可能になるわけです。取り組みはじめたばかりなので、購入者のデータ分析を進めているところです。
また、所有する車に乗ってもらい、売れたら販売手数料がオーナーに入るという仕組みも作り、オーナーがクルマを所有し続けられるようサポートしていきたいですし、ドライバーに対しては、車の購入を後押しするような機会を提供する仕組みを作っていきたいです。

――これからのMaaS事業に対するお気持ちをお聞かせください。

馬場さん:この8年間、エニカを通じて交通不全という社会課題の大きさを肌で感じてきました。交通網は人で例えると血流のようなものですから、それが止まるとその先の組織が活動できなくなります。事業としてだけでなく、社会貢献として移動手段を継続的に提供していくことも役目のひとつと認識し、MaaSをトレンドとして捉えるのではなく、日本の交通を支えているという気持ちを持って取り組みたいです。
しかし、我々だけで日本全国の移動手段を支えることはできません。MaaS事業者が互いに手を取り合って日本のMaaSのレベルを上げていくことが理想だと思っています。

――個人間カーシェアの市場確立と、交通不全の解消に期待しています。


※エニカ専用保険を開発した方々へのインタビュー記事は
こちら>>カーシェアに合わせて保険を設計。安心・安全をパワーアップ!

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