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2023.03.09

さらに魅力を増す阪急阪神沿線!MaaS実証実験の結果を地域活性化に有効利用

兵庫県西宮市で行われた都市型MaaSの実証実験の結果と、注目の新アプリについて阪急阪神ホールディングスさんにお話を伺ってきました。実証実験では、マルチモードの経路検索をメイン機能として、西宮市のおすすめのスポットを紹介する機能などを組み合わせたサービスを展開しておられました。

 

阪急阪神ホールディングス

100年以上の長い歴史をもち、豊かなライフスタイルを提案する企業グループです。鉄道事業を中心に、住宅・商業施設などの開発、阪神タイガースや宝塚歌劇などの事業運営を通じて、良質な「まちづくり」に貢献しておられます。

MaaS事業の担当者様にお話を伺いました!

担当者写真

阪急阪神ホールディングス株式会社
グループ開発室 課長 岩崎貴文

2021年4月21日〜8月30日に実施された都市型MaaSの実証実験について

――実証実験で提供していたサービス「maruGOTにしのみや」について教えてください。

岩崎さん:「maruGOTにしのみや」は実験限定で開発されたアプリです。西宮市域を中心に経路・スポット検索から予約・決済、ポイントサービスなどの多様なサービスをワンストップで提供したほか、デジタルバス乗車券やスタンプラリーなどの機能も実装しました。実験にあたっては西宮市在住の方々からモニターを募集し、モニターの皆様のアプリのご利用を通じて、お出かけをサポートする機能やポイントサービス等が行動誘発に与える影響を検証しました。

実証実験でしか得られない貴重な経験とデータ

――経路検索とリアルタイム情報等の提供サービスについて、実証実験を通して得られたことはありますでしょうか。

岩崎さん:鉄道・バス・タクシー・シェアサイクル等の公共交通に、徒歩・自転車・自動車による移動手段を加え、マルチモードでの経路検索機能を提供しました。また、経路検索に関連した特殊機能として、検索結果上での列車やバス走行位置のリアルタイム情報の提供に加え、グループ(複数人利用)単位での交通費総額提示や経路検索結果の保存・呼出機能等も提供しました。当時は新型コロナウィルス蔓延による移動自粛に加え、実験期間が短くユーザーが利用に慣れるまでの時間が不十分だった影響もあり、個々の特殊機能の利用率はあまり伸びませんでした。
一方で、「バスが時間どおり来るのか気になる」、「家族で移動する際にタクシーとその他の交通機関との運賃総額を比較したい」といったニーズからご利用にいたったケースも確認できました。サービスの特⻑がきちんとユーザーに伝われば、実際に利用につながるということなんだと思います。さらにサービスのブラシュアップを図ることで、便利でオリジナリティのある経路検索サービスの提供も可能と考えています。

――「maruGOTにしのみや」では、地域に根差した施設やサービスとの連携をしておられたかと思います。実際にやってみて、難しかったことや有益だったことはありますでしょうか。

岩崎さん:交通以外のサービスとして⻄宮市内の「おすすめ100スポット」の情報提供や、当該スポットを⽬的地として経路検索できる機能などを提供しました。今回はモニター参加型の実験ということで、参加者の属性とスポット情報の検索等を通じた興味・関心事の紐づけができるようにしておりました。その仕組みを通じて、属性ごとのニーズの把握ができたことは有益であったと感じております。
また、本実験アプリに限れば、経路検索単体でご利用される方とスポット情報を経由して経路検索をご利用される方の割合がほぼ同等でした。その結果から、目的地と連携した経路検索に一定のニーズがあり、MaaSとしての効果を確認することができました。

――他社の交通サービスの予約・決済との連携について、難しかったことや苦労されたことはありますでしょうか。

岩崎さん:関係各社様にご協力いただき、経路検索結果で表示される提案ルートから各社アプリ/Webサイトとの連携を通じてタクシーの配車手配、最寄りのシェアサイクルやカーシェアの空き状況確認・予約といった機能等を提供しました。
多くのユーザーに利用していただくことを期待しておりましたが、今回はコロナウィルス流行に伴う緊急事態宣言期間を挟むなかでの実験の実施ということもあり、本アプリから各社サービスへの送客効果が思うように上がりませんでした。今後の同種のサービス連携にあたっては、機能の見せ方や操作性などアプリのUI/ UXも適切に見直し、ユーザーにとってストレスのない動線で他社サービスへの誘導ができるよう最適化を図りたいと考えています。

――アプリ利用のモニター限定のポイントサービスの提供では、どのようなデータが得られたのでしょうか。

岩崎:アプリ限定のポイントサービスは多くのユーザーに使っていただくことができました。地域性やスマホアプリとの親和性も影響しているかと思いますが、男性よりも⼥性、⾼年層よりも若中年層のポイント機能の利用割合が⾼いという結果が出ました。ポイント機能は日常的に⻄宮市内でお買い物されている方との相性が良かったのだろうと推測しております。
また、同機能内で達成者にポイントを付与する「デジタルスタンプラリー」を実施したところ、参加者の高い満足度を獲得することができました。イベントと連動したポイントサービスは、「観光性の高い地域での活性化」や、「アプリの付加価値向上」に効果的であることが分かりました。

新アプリ「HH cross TOWNS」のリリース
アプリロゴ

HH cross TOWNS

岩崎さん:現在、利用可能なエリアは限定されていますが、個々の街の特性に応じて、カフェの混雑状況やワークスペースなどのスポット情報の発信やアプリ限定でのお得なチケットの提供、バス、タクシー、シェアサイクルなど各種交通モードとの連携などを中心にサービスを提供しています。今後も⻄宮市で実施したMaaSの実証実験で得た知見を活かし、アプリ機能やサービスエリアの拡充を進めていきます。
また、本DXプロジェクトで展開している阪急阪神グループの共通IDHH cross ID」を通じて、宝塚歌劇や不動産、ホテルなどの他サービスとの連携がより手軽にできるようになりました。これらの取り組みをより良いサービスの開発に繋げ、阪急阪神沿線を利用されるみなさまのおでかけを快適にする取り組みを推進していきたいと考えています。

――地域に根差したグループ企業だからこそ実現できることがたくさんありますね。貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

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