MaaS関連サービス
2025.03.07
広がるシェアサイクルの可能性――「HELLO CYCLING」で社会問題の解決に挑む
「移動をもっと楽しく、自由に。」をミッションに掲げ、自転車などのシェアリングサービスを提供しているOpenStreet株式会社様。様々な社会問題の解決に寄与する新たな交通手段として、MaaSネットワークを構築しています。
お話をお伺いした方
OpenStreet株式会社
代表取締役社長 CEO 工藤智彰 様
移動の問題は重要な社会課題になると予見
――はじめにOpenStreet様の事業やサービスについて教えてください。
工藤様:弊社では「HELLO CYCLING」を中心としたシェアモビリティのプラットフォームを提供しています。具体的には、各地域でシェアサイクルを中心としたシェアモビリティを展開したい事業者様、自治体様に向けて、導入を支援するべく、シェアサイクルのアプリやエンドユーザーが使うIOT、移動データを分析する分析システムをパッケージで提供しています。
これと同時に、シェアサイクルやEVモビリティシェアサービスも提供しています。いわゆるBtoBtoCモデルで移動サービスを提供している会社です。
――事業を始めた背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
工藤様:弊社はソフトバンクグループの企業です。ソフトバンクグループには、ソフトバンクイノベンチャーという社内起業制度がありまして、その中で発案された事業アイデアのひとつが、現在、私たちが運営する「HELLO CYCLING」の原型でした。
事業を開始したのは2016年です。当時、シェアサイクルは市場としては小規模でしたが、移動領域の課題は将来において重要な社会課題になると見ており、上場までいけそうだという感覚がありました。その後、他社の参入もあり、シェアサイクル市場は一気に広がりました。予定通りではありませんが、やはり私たちの見立ては間違っていなかったと思っています。
他社サービスとの連携で観光利用も増加
――「HELLO CYCLING」について詳しく教えてください。
工藤様:「HELLO CYCLING」はモビリティサービス全体のプラットフォームで、各地域で事業を展開しているのは様々なパートナー事業者様になります。
モビリティをシェアする仕組みとしては、自転車であれば通信、IOTの技術を用いたスマートロックを取り付けます。EVであれば車載器で直接制御します。
私たちは通信、IOTの技術とそれを使ったバックエンドのシステム、移動データを分析するプラットフォーム、エンドユーザーが使うIOT、これらをひとつのパッケージとしてパートナー事業者様にご提供し、パートナー事業者様が持つアセット(ステーション・自転車)を「HELLO CYCLING」でつなぎ、ひとつのサービスとして見せることでシームレスな利用を可能とし、ユーザーの利便性を保っています。
現在、アプリ会員数は420万人(2025年2月時点)。パートナー事業者数は79社(2025年2月時点)に及びます。
――パートナー事業者様の業種は?
工藤様:パートナー事業者様の業種は、非常に多種多様ですが、交通、観光、エネルギー、フランチャイズの飲食店やガソリンスタンドが多くを占めています。
――彼らの参加目的はどういったところにあるのでしょうか。
工藤様:例えば、交通事業者様では、沿線の開発や街の利便性を高めるという狙いがあります。また、地方で地域密着型のビジネスを展開する事業者様では、地域貢献に加えて、継続可能な事業としてコングロマリット的にシェアサイクルを導入するケースもあります。
――観光というと訪日外国人旅行者の利用者も多そうですね。
工藤様:そうですね。特に多いのは中国系の方です。理由は、私たちはAlipayにミニアプリを提供しているからです。Alipayユーザーは、普段使っているAlipayアプリの中にあるシェアサイクルボタンを押すだけで「HELLO CYCLING」を利用することができます。海外に行って、現地のシェアサイクルに会員登録をしてクレジットカードで決済するのって、結構ハードルが高いですよね。けれど「HELLO CYCLING」ならシームレスに利用できるわけです。ちなみに、Alipayからの利用は、京都と湘南で多く見られます。
成功の秘訣は街を面で捉えてサービスを設計すること
――パートナー事業者様が「HELLO CYCLING」に参加する前に知っておいたほうがいいことはありますか。
工藤様:BtoBtoCのBtoBの部分ですから、新規事業を一緒に始める業務提携になります。
事業として参加いただく観点でいうと大きく2つの形あります。
ひとつは、ステーションと自転車をご提供いただきシェアサイクルの運営会社として参加する形。もうひとつは、ステーションの提供者として参加する形です。
どちらも初期投資は必要ですが、自転車なのでその他の交通サービスに比べて小さな投資で始めることができます。
しかし、既に「HELLO CYCLING」が展開されているエリアに参加するか、まだ「HELLO CYCLING」が展開されていないエリアに参加するかで、収益化の難易度が変わります。首都圏にはネットワークが張り巡らされているため、ステーションを設置したその日から利用されることもめずらしくありませんが、ゼロベースから始める場合は、収益化できるまである程度長い期間、事業を続ける意思と計画が必要です。
失敗するパターンとしては、点でしか見ておらず、利用場所が限定されているケースが挙げられます。観光地のシェアサイクルを例にすると、 “市民が便利に使える状態=観光客に便利”なので、サービスを面で捉えて街全体の移動手段として設計することが大事だと思います。
これは業種を問わない話ですが、私たちにすべてを依存するようなパートナー事業者様の成功は難しいです。地域の魅力や交通課題をよく理解しているのは自治体や地元企業ですから、地域の特色とシェアサイクルをどのように連携させれば有効であるかを一緒に考え、課題解決の一手段として運用する必要があるからです。
――既に「HELLO CYCLING」に参加しているパートナー事業者様からは、どのような声が寄せられていますか。
工藤様:車体オーナー様は自転車に社名が記載されるので、環境にやさしい自転車で地域の足に貢献しているというメッセージを、地域住民にわかりやすく伝えることができます。SDGsに本気で取り組もうとすると時間も手間もかかりますが、「HELLO CYCLING」であれば少ないリソースでそれができる。しかも、新規事業として投資を回収しながら地域貢献ができるということで大変喜ばれています。
また、商業施設や小売店、不動産業者様には、ステーションがあることで人が立ち寄るきっかけになったり、周辺の人々にとって便利な施設を作ったりすることができることに価値を感じていただいております。
先ほど、サービスを面で設計することが成功につながるというお話しをしましたが、最近は「もっと近くにステーションが欲しい。もしかしたらうちのオフィスにも置けるんじゃないか」というお問い合わせをいただくことが増えてきました。「HELLO CYCLING」に参加して喜んでくださっているパートナー事業者様の中には、エンドユーザーから望まれて参加された事業者も多いように思います。
ステーションマップは≪こちら≫
エンドユーザーの利便性向上と、パートナー事業者様の収益への貢献を目指す
――今後の展開についてお聞かせください。
工藤様:これまでに収集したデータから、事業が成り立つエリア、厳しいエリアはわかっています。前者に対して実際に展開できている割合は、15~20%と捉えています。まだ私たちのサービスが届いていないエリアが多くありますので、愚直にサービスを広げていきます。
一方で、既にステーションがあるエリアの密度を上げていくことで、エンドユーザーの利便性を高めるとともに、パートナー事業者様の収益に貢献することを目指してまいります。
――最後に、エンドユーザーとパートナー事業者様に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
工藤様:それでは、エンドユーザーに向けたメッセージから。
シェアサイクルはこの数年で一気に便利になったサービスなので、使い方がわからない、便利なイメージができない、という方もたくさんいらっしゃると思います。ですが、一度使っていただければ、かなり楽で便利なものだと感じていただけると思います。
自転車で街を走るって、実はすごく楽しいことなのだと気づく方もたくさんいらっしゃいます。シェアサイクルは私たちのサービス以外にもあるので、身近にあるシェアサイクルを試していただくと、新しい街、新しい風景に触れる機会も増えていくのではないかと思います。
次に、パートナー事業者様に向けてのメッセージです。
シェアサイクルのマーケットは成熟期に入ろうとしています。しかし、いまだシェアサイクルが無いエリアがありますし、サービスを提供しているエリアでもそれぞれ普及の度合いが異なります。ノウハウが蓄積されてきたこともあって、ゼロから取り組むにはよいタイミングですから、自分たちの地域はシェアサイクルの対象ではないと思っている事業者様も、一度ご相談ください。ぜひ、展開の可能性についてお話しできればと思います。
――シェアサイクルが無い地域の方、自社サービスとの連携がイメージできない方にも、気軽にご相談いただけるといいですね。ありがとうございました。
■シェアモビリティのプラットフォーム「HELLO CYCLING」の提供会社
OpenStreet株式会社

【会社名】 OpenStreet株式会社