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2025.01.22
“事故のない社会へ”をミッションに 交通違反検知システム「AI-Contact」を提供
交通違反を検知するクラウド型交通安全システム「AI-Contact」を提供するジェネクスト株式会社様。AI-Contact開発の背景には、交通事故のない社会を実現するという熱い思いがありました。
お話をお伺いした方
ジェネクスト株式会社
取締役 営業本部長 滝口正嗣 様
■実父の交通事故をきっかけにシステムを開発
――ジェネクスト様の事業概要を教えてください。
滝口様:弊社は、社用車の安全管理や車両管理を行う「AI-Contact」の提供をメイン事業としています。これは交通事故鑑定から派生したサービスです。2021年の道路交通法施行規則の改正により、アルコールチェック代行サービスも始めました。
――AI-Contactを開発した背景をお聞かせください。
滝口様:まず、弊社代表の笠原の父が交通事故にあったことがきっかけとなり、交通事故鑑定をはじめました。多くの交通事故を鑑定する中で、事故の背景には必ず交通違反があることに着目し、交通違反を無くせば交通事故を防ぐことができるだろうと考え開発したのがAI-Contactです。
■アプリだから簡単に始められる
――AI-Contactにはどのような特徴がありますか?
滝口様:特徴としては、スマートフォンのアプリでサービスを提供していることです。ドライブレコーダーのような車載器が必要ありませんので、初期費用を抑えて簡単に始められるというメリットがあります。
もうひとつの特徴としては、交通違反を取れることです。スマートフォンの位置情報、制限情報が入った地図情報を照合して交通違反を検知する仕組みを採用することにより、速度超過、一時不停止、踏切不停止、右左折禁止、進入禁止の5つの違反の検知を可能にしています。これは他社にはない強みとなっています。
(管理画面イメージ)
――アルコールチェック代行サービスについても詳しく教えていただけますでしょうか。
滝口様:2021年の道路交通法施行規則の改正により、2022年4月からドライバーのアルコールチェックが義務化、続いて2023年12月からアルコール検知器を用いた酒気帯び確認が義務化されました。すでに提供していたAI-Contactにアルコールチェック代行サービスを搭載することで、乗車から運転を終えるまで一気通貫した安全管理サービスを提供しています。
――AI-Contactの導入ステップを教えてください。
滝口様:お客様と契約締結後に、ドライバーの氏名、メールアドレス、キャリア、車両情報などを記したユーザー情報シートを作成しIDを発行します。ドライバーの登録人数にもよりますが、おおむね2~3日後にご利用開始となります。
導入後の研修やサポートサービスも提供しており、すべてのユーザーが最適な利用ができる環境を整えています。
■導入後は安全運転への意識が醸成され交通事故が減少
――導入のメリットとしては具体的にどのようなことが挙げられますか。
滝口様:一番大きなメリットは、安全運転への意識が醸成されて交通事故が無くなることです。その結果、自動車保険料が下がり、経費の削減につながります。また、荒い運転をしなくなったことで、走行エリアにお住まいのお客様からのクレームが減ったというお声をいただいています。
――AI-Contactを導入する際の注意点はありますか。
滝口様:スマートフォンが必要です。スマートフォンを支給する会社が圧倒的に多いのですが、一部には個人のスマートフォンを使う会社があります。個人のスマートフォンに会社の管理ツールを入れることに抵抗感を覚える方もいますし、アプリ使用時の通信料負担の問題もありますが、そこは給与にいくらか補填することで対応しているようです。
■高齢ドライバーへサービスを拡大し交通事故ゼロの日を増やす
――日本の交通において貴社が果たす役割についてはどのように考えていらっしゃいますか。
滝口様:AI-Contactを普及させ交通事故を削減することは、SDGsの目標3にあたる道路交通事故による死傷者削減に直結する取り組みであり、人々が安全に過ごせる社会づくりに役立つと考えています。
日本における交通事故死亡者数は1969年以降で一時1万5,000人を超えたこともありましたが、近年は約2,600人で推移しています。
警察が一日ごとの交通事故の統計をとりはじめた1968年からですと、交通事故による死者が1人もいなかった日は2021年4月8日の1日しかありません。交通事故で得する人は誰もいません。誰も幸せになりません。死亡事故0件の日を増やしていくことができればと考えています。
――交通事故のない社会の実現に向けて、今後の展望やチャレンジについてお聞かせください。
滝口様:今後は一般ユーザーの交通事故、中でも社会問題になっている高齢ドライバーの事故削減に取り組む計画です。
運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、認知機能検査などを受けなければならないこととされています。また、ある特定の交通違反をした場合には臨時認知機能検査を受ける必要があります。
AI-Contactを活用し、臨時認知機能検査該当の交通違反状況を、20代から50代の現役世代における6,000万件以上のデータと比較することで、運転継続の適性を評価する判断材料を提供します。この情報を基に、必要に応じて運転免許の返納を検討してもらう取り組みを進めていきたいと考えています。その先駆けとして、2024年2月に神奈川県横浜市で、高齢ドライバーの運転状況を評価する実証実験を行いました。
AI-Contactで収集したデータを地域の安全に活かす取り組みも進めています。同年4月には愛知県小牧市で交通事故が発生する危険性が高い生活道路を選定し、時間帯や季節による交通量の実態を把握し、必要な対策を行うという実証実験を行いました。具体的には、スピードを出す自動車が多いエリアや一時停止違反の多いエリアを特定し、近隣住民が使用する施設でのイベント実施や通学路マップへの記載を行うなど、交通安全啓蒙活動を行いました。
今後も自治体と協働して地域の交通安全対策にも力を入れていきたいと思っております。
――交通事故が起こってから対策を取るのではなく、起こる前に傾向をつかんで注意喚起するのですね。交通事故で悲しむ人が出る前に手が打てるなんて、素晴らしいことですね。ありがとうございました。
ジェネクスト株式会社
【会社名】 ジェネクスト株式会社
- クラウド型交通安全管理システム「AI-Contact」の運営
- アルコールチェック代行サービス
- ドライブレコーダー映像解析/交通事故鑑定
【TEL】 050-1790-2920