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2026.03.05
ブランド刷新で強める安全な移動体験へのこだわり ドコモ・バイクシェア「NOLL」

ドコモ・バイクシェアは3月3日、都内でリブランド発表会を開催し、同社の清水貴司代表取締役社長が、新たなサービスブランド「NOLL(ノル)」の概要を説明し、新型モビリティを披露した。
サービスブランド刷新の背景には、ドコモ・バイクシェアが抱えていたさまざまな課題を解消し、サービス認知をさらに拡大させて利用を広げる狙いがある。ミッションとして掲げる「乗る人も乗らない人も安全安心なモビリティサービス」を実現するに当たり、目下の課題に対する改善を図ったのが今回のリブランドと言える。
発表会では、リブランドに至った背景や、新型車両の導入、新サービスブランド展開についての意気込みが語られた。
全国統一ブランドの構築

清水社長
現在、ドコモ・バイクシェアは直営エリアとシステム提供エリアを合わせて全国63のエリアで導入されていますが、エリアによっては個別のサービス名称が存在しています。特に東京の場合は区ごとにサービス名が異なる状況です。ユーザーが共通認識できる名称がないという課題がありました。
実際、自転車自体の認知率は約50%ですが、サービス名称の認知率は5%以下というデータがあり、別エリアに行った際に同じサービスだと気づきにくいという点も指摘されていました。そのため、システム障害時にSNS等で情報を発信しても、ユーザーが検索できず情報に辿り着けない問題もありました。
こういった状況を解決するために今回、サービスブランド「NOLL(ノル)」とし、全国統一ブランドとして展開します。「乗る」という日本語と、スウェーデン語で「ゼロ」を意味する言葉を掛け合わせたネーミングで、不安を取り除いてゼロにしたいという意味を込めています。
各エリア固有の名称がついてる場合は、それを残しつつ、「by NOLL」を付けて「NOLLの一部」であることを明示する形にしていきます。全国どこでも「あ、これNOLLだ」と認識できる状態を目指します。
新型車両の安全性と耐久性の追求

電動アシスト自転車と特定小型原付の2種類を新たに開発しました。基本フレームは共通設計です。
いろんなこだわりを持って車両を開発しています。
荷物を入れるカゴの大きさを気にされる利用者が多いので、カゴはフレームに直付けとなっています。ハンドルではなくフレームに直接固定しているため、重い荷物を載せてもハンドルが振られず安全です。
また、フロントサスペンションを搭載しており、段差や凹凸路面でも衝撃を吸収し、スムーズな走行が可能です。前後輪ともノーパンクタイヤを採用しています。現行車両も後輪は約4割がノーパンクタイヤで運用実績ありますが、今回は前後輪ともに採用し、パンクによる機会ロスを大幅に削減します。
バッテリー容量は現行車両比で1.7倍となり、自転車であれば最大約100km走行可能です。「乗ろうと思ったら充電切れ」といった状態を大幅に削減します。
従来のサドルは回すタイプでしたが、硬いという声をいただいていました。新型のサドルはワンタッチで調整でき、高さのメモリも付けました。
安全対策の強化

新型車両として導入する特定小型原付については、広島市での実証実験(2025年4月〜9月)を実施しました。電動キックボードと同じ区分の車両ですが、後発となるので安全性に気を配りました。
終了後のアンケートでは、72.5%が「安全だった」と回答しましたが、一方で約4分の1が「危険を感じた」と回答しました。
その結果を受けて、安全対策を講じています。
まずは運転免許を必須化しました。交通ルールの基礎知識を担保するため、免許保有者のみ利用可能としました。
さらに特例モード(歩道走行モード)を非搭載としました。「歩道を走ってもいい」という誤解を生みやすいため、最初から搭載せず車道専用としています。車道しか走れないということを明確にしています。
また、難易度の高い交通ルールテストを導入しました。かなり難しい設定にした結果、1回で合格できたのは約1割。私たちが把握している範囲では、実証実験中の検挙件数はゼロ件でした。
今後の安全対策
特定小型原付については、免許必須と特例モード非搭載を今後も継続していきます。
また、AIを活用した走行エリア判定技術も検討しています。危険な運転の認識は可能ですが、認識後の制御方法については、今後検討を進めていく予定です。
交通ルールテストの継続実施や、安全ガイドの普及も重要だと考えています。
さらに、アプリを通じたタイムリーな情報提供やプッシュ通知の活用も進めていく予定です。
料金プランの見直し
現行のサービスでは、1回利用は30分165円です。
しかし、実際の最頻利用時間はわずか8分で、「8分しか乗らないのに30分分を払うのは割高」という不満の声がありました。
また、1日パス(0時〜23時59分の間で利用可能)のユーザーの約70%が午後から利用を開始しており、午前中の時間帯は実質使われていない状況でした。
そこで新料金プランでは、1回利用を30分単位から10分単位課金へ変更します。これは、ユーザーアンケートで最も支持が高かった単位が10分だったことに基づいています。
また、1日パスは「利用開始から3時間」というように時間制へ変更し、実際の利用状況に合わせた設計としました。
アプリ・UIの刷新

これまではサービスサイト・コーポレートサイトが別々に存在し、ユーザーが混乱しやすい状況でした。
また、登録が独自IDで、登録フローが複雑・長いとの指摘もありました。
さらに貸出時は、①自転車パネルのタッチ → ②アプリ起動 → ③返却後はメールで通知、と3つの媒体を行き来する手間がかかる状態でした。
このため、新UI(アプリ)では、全操作をアプリ1本に集約(鍵の物理操作不要。施錠はモーターで自動ロック)しました。5月1日に既存アプリを強制アップデートし、新アプリに一本化します。旧来の赤い自転車も新型の白い自転車も同じアプリで利用可能です。
<質疑応答>
ー実質の料金引き上げになるのか?
値上げになるユーザーがいることは認識しています。
主な理由は、都市部での需要急増に対応するための車両調達や再配置(リバランス)オペレーションのコストです。競合他社を直接意識したものではなく、ユーザーアンケートの結果と実際の利用状況に基づいて判断しました。
ー旧車両の扱いはどうなるのか?
直営エリア(仙台・東京・横浜・大阪・広島など)では、2030年を目処にすべての車両を新型に切り替える予定です。初年度(2026年度)は約5,500台を導入します。既存車両についても、メンテナンスを行いながら引き続き稼働させます。
システム提供エリアについては、当面の間は現行車両の調達も可能な移行期間を設けます。
ー自転車の安全対策への取り組みは?
安全啓発には特に力を入れていきます。
正しい交通ルールをアプリを通じてユーザーに高頻度で伝えていきます。ホームページ、SNS、noteなども活用し、周知を強化する予定です。
ー料金改定の影響、月額プラン、アプリ移行について
料金改定により、短時間利用は増え、長時間利用は減ると見込んでいます。1回利用については、利用回数は大きく変わらないと考えています。月額プランについては、利用回数は減ると見ています。
現在の月額プランは3,300円で利用回数の上限がなく、多い人は月100回以上利用しています。これは「短時間しか乗らないのに30分分の料金を払う不公平感」の裏返しで、「定額で何時間でも乗れてしまう不公平感」もあると考えています。
通勤利用も考慮しつつ、実際の利用データ(月40回程度が多数)を踏まえ、上限を30回に設定しました。
アプリの移行については、2026年5月1日に全ユーザーのアプリを強制アップデートする予定です。赤い旧型車両も白い新型車両も、同じアプリで利用可能になります。
ーヘルメット着用推進策とブランド浸透戦略
「ヘルメットをかぶりたい」と思える前向きな雰囲気づくりを進めていきたいと考えています。折りたたみヘルメットプレゼントキャンペーンは、通常キャンペーンと比べて非常に多くの応募がありました。
「ヘルメットをかぶること自体が嫌」というより、「持ち運びが邪魔」という理由が多いと推察しており、折りたたみ式ヘルメットへの需要は高いと考えています。
ポートや車体にヘルメットを常設する案については、衛生面や紛失リスク、状態管理の課題があるため採用していません。
新ブランドの浸透については、新型車両自体がプロモーション効果を持つと考えています。SNSやホームページのリニューアルに加え、自転車関連イベント(2027年愛媛開催予定の国際会議「ベロシティ」など)への積極参加も検討しています。
