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2025.11.27
仙台で自動運転バス実証 災害対応と観光移動を高度化

NTTドコモビジネスやパナソニック コネクトなど8社で構成するコンソーシアムが、東北大学と仙台市と連携し、仙台市内2エリアで自動運転バスの実証実験を行う。実証は沿岸部を走る「東部北ルート」と山間部の「秋保ルート」で順次実施され、津波避難が想定される地域と通信環境が不安定になりやすい地域という対照的な条件下で、安全かつ持続可能な自動運転サービスを検証する。
仙台市は、公共交通の維持や観光の二次交通の確保といった地域課題の解決策として自動運転の導入を位置づけ、令和7年度に市内4地域で実証を進めている。今回対象となる東部北地区は津波避難を要する沿岸エリア、秋保地区は山間部という特性を持ち、災害時の避難や道路凍結、通行規制など、多様なリスクに対応できるモビリティインフラの確立が狙いだ。
両ルートでは、複数キャリア回線とローカル5Gを組み合わせた「通信安定化ソリューション」を用い、走行中の通信品質低下や遅延・途切れを抑える仕組みを日本で初めて自動運転バスで検証する。さらに、都市OSと連携して道路工事情報や災害情報、道路凍結データなどの環境情報を車両制御に反映し、厳しい走行環境でも安定運行できるかを確認する点が、技術面での大きな特徴だ。
実証に用いる車両は日野自動車の小型路線バス「ポンチョ」の自動運転レベル2仕様で、東部北ルートは三井アウトレットパーク仙台港と水族館、フェリーターミナル、JR駅などを結ぶ片道約10km、秋保ルートは秋保大滝や市民センター、神社を巡る片道約29kmとなる。いずれも無料で乗車でき、専用サイトから事前予約した最大10名が利用できるため、観光と実証参加を兼ねた移動体験が可能だ。
通信面では、東部北ルートで災害時の通信輻輳を想定し、5Gワイドやネットワークスライシングにより遠隔監視に必要な通信を優先的に確保する。秋保ルートでは複数キャリア回線の自動切替制御やローカル5G、さらに衛星通信Starlinkを組み合わせ、電波が届きにくい山間部で安定した通信環境を構築する。
車内カメラとAIによる白杖利用者の検知、商業施設内の案内ロボットとの連携、VTuberによる観光案内や乗客応対、乗客属性に応じたデジタルサイネージ表示などのサービスも一部日程でデモ提供される。視覚障がい者の単独移動支援や観光時の案内強化、移動中に得られる地域情報の最適化を検証する。
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