大手旅行会社のエイチ・アイ・エスは、エアモビリティのインフラ構築を手がけるAirXと業務提携を締結した。この提携により、観光地における新たな移動サービスの開発を世界各国で進めていく。AirXは2015年創業の企業で、ヘリコプターやプライベートジェット、次世代航空機eVTOLの調達から販売、ヘリポートの設置・運営までを担う空の交通デジタルプラットフォーム事業者だ。

提携の中核となるのは、ヘリコプターおよびeVTOLを活用した旅行商品の企画・販売体制の構築である。具体的には、運航会社の選定から機体整備を含む安定運航環境の整備、予約システムの提供、世界各国でのアクティビティや旅行商品の提案・販売を両社で協力して推進する。また、企業や富裕層を対象とした機体販売についても共同で顧客開拓を行い、HISの既存顧客網を活かして販売を拡大していく方針だ。

第一弾として、来年1月からフランス、スイス、モナコ、ニュージーランドにおいてヘリコプター利用サービスの提供を開始する。欧州では、ニースやモナコ、カンヌといった都市間をヘリコプターで結ぶことで、移動時間を大幅に短縮した効率的な旅程を実現する。地上交通では時間がかかる都市間移動を空路で繋ぐことにより、限られた旅行日程の中でより多くの観光地を訪れることが可能になる。

特別な体験価値の提供にも注力する。ワイナリーの壮大な景観を空から眺める遊覧飛行や、顧客の希望する目的地へダイレクトにアクセスするオリジナルのプライベートチャーターサービスを用意する。これらは、効率的な移動と上質な非日常体験の両立を求めるハイエンド層をターゲットとしたもので、移動時間の短縮とプレミアム感ある観光体験を同時に提供することを目指している。

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