安全運転管理者向けコラム
2023.10.18
アルコールチェック義務化の影響と対策とは?制定の背景や法律なども紹介
2023年12月1日より、特定の事業者におけるアルコール検知器を用いた確認と、1年間の記録の保管が必須事項になります。本記事では、アルコールチェックについて、義務化の背景から具体的な内容、影響、罰則、対策まで詳しく解説します。
アルコールチェック義務化の背景
法改正のきっかけは、2021年6月に千葉県八街市で発生した、トラックが下校中の小学生の列に突っ込み5名の児童を死傷させた事件です。このときのトラック運転手は飲酒をした状態で運転していたことが判りました。
警視庁はこの事件をきっかけに飲酒運転の厳罰化を進めており、「白ナンバー」の車を使う事業者に対するアルコールチェックが義務化されることになりました。
アルコールチェック義務化の具体的な内容
アルコールチェック義務化は、道路交通法の一部改正により導入されました。この法律は、ドライバーの飲酒運転の根絶と、安全な運行を確保するためのものです。
義務化の範囲と対象
企業が保有する車両の条件として、11人以上の定員を持つ車を最低1台、または白ナンバーの車を5台以上使用する場合が対象となります。車種や用途は問わず、軽自動車(黄色ナンバー)も含まれます。
道路交通法により、これらの条件を満たす車両を所有する組織は「安全運転管理者選任事業所」と定義され、事業所内で車両の運行管理や安全運転を担当する「安全運転管理者」を任命することが求められます。そして、新たに追加された管理業務として、点呼とアルコールチェックが義務付けられました。
適用開始の時期
2022年4月1日に施行された道路交通法は「運転者に対し運転前後の酒気帯びの有無を目視等で確認」「確認内容を記録し、その記録を1年間保存」というものでした。
さらに、2023年12月1日からは「アルコール検知器」を使用した確認が義務化されるとしました。
具体的な施行内容はこちらです。
- 運転の前後の運転者に対し、目視などにより酒気帯びの有無の確認をするほか、アルコール検知器を使用して確認を行うこと
- 確認の記録を1年間保存し、アルコール検知器を常時有効に保持すること
2022年4月1日に改正された道路交通法との主な違いは、アルコール検知器の使用が必須となった点で、これからはアルコール検知器の使用状況も記録に残す必要があります。
義務化による影響
事業者への具体的な影響
アルコールチェックの義務化により、事業者は以下のような影響があると考えられます。
- コスト増:アルコールチェック機器の導入や維持費用、運用に関する人件費などが発生します。
- 運行管理の負担:ドライバーのアルコールチェックを行うための時間や、チェック結果の管理・記録など、運行管理の手間が増えます。
- 法令遵守の必要性:法令遵守が求められるため、適切な運用が必要となります。
- 事故防止への取り組み:アルコールチェックの義務化は、事故防止への取り組みの一環となります。これにより、事業者の安全運行への意識が高まるとともに、社会的な信頼も得られます。
違反時の罰則
アルコール検査を行わなかった場合の具体的な罰則は明記されていませんが、安全運転管理者としての職務遂行に問題があると判断され、「安全運転管理者の解任命令」が出される可能性があります。解任されると、社用車の使用が許可されなくなり、新たな安全運転管理者を任命するまでには時間がかかります。必要な書類を揃えて警察署を通じて公安委員会に報告する必要があるため、その間、業務が実質的に停止する可能性があります。
義務化に向けた準備
アルコールチェックの義務化に対応するために必要な準備を紹介します。
①「点呼とアルコール検知の実施」に対する準備
点呼とアルコールチェックは、対面またはビデオ通話を利用した非対面方式で行うことが可能です。対面が原則ですが、直行直帰や出張などで対面が難しい場合は非対面も許可されています。社用車の利用頻度や勤務体制に合わせて、対面・非対面のどちらでも対応できる運用を考えることが推奨されています。
②「正常に機能するアルコール検知器の保持」に対しての準備
アルコールチェッカーの設置方法は、事務所内や車内、または各ドライバーが個々に持つなど、事務所の状況に応じて考慮する必要があります。また、アルコールチェッカーは定期的なメンテナンスが必要で、使用するたびに内部のセンサが劣化するため、使用上限回数や交換期間を守り、適切なメンテナンスを行うことが重要です。
③「記録保存」に対する準備
点呼と酒気帯び確認の記録は1年間保持する必要があり、多くのチェック項目が含まれます。これらの記録は通常、紙の台帳やPCのExcelなどで管理されますが、これらの方法はドライバーや管理者の負担が大きく、データの改ざんも容易であるため、効率的で確実な記録・保存方法の検討が求められます。
④代行サービスの活用
適切なサービスを選び、運用することで人的リソースを割くことなく、確実に法令順守することができます。また、アルコールチェックの記録の管理する作業についても自社で行う必要がなくなります。
TMJは、ドライバーとの点呼確認から記録簿の作成までを行う「アルコールチェック代行サービス」の提供を開始しました。運行管理システムの利用料金は完全無料。ドライバーの稼働時間に合わせてプランの選択をしていただけます。
まとめ
2023年12月1日アルコール検知器を用いた確認と1年間の記録保管が義務化されます。
対策にはそれなりの準備期間が必要なため、対応は急務です。とはいえ、初めての対応で抜けもれなく対応できるのか不安な場合もあるでしょう。そのようなときに安心なのが「アルコールチェック代行サービス」の活用です。お問い合わせは<こちら>。